小川一水『第六大陸』

全2巻完結という形なのですが、両方読んだので一緒に感想を。
んー、スターロードのネタはいらなかったかもね。あそこでちょっと冷めた。とは言え、僕の趣味からは結構外れてるものの最後までとても面白く読めてしまった。リーダビリティは抜群ですな。きっと幅広く好かれる本でしょう、これは。
天才少女が宇宙に行きたがる「真の動機」とか、某キャラの死に様が……とか、主にキャラ描写の面においてやたらと陳腐な部分があってバランス崩してる気もするのだけど、まあそのへんはなんとか“微笑ましい”と見れないこともない。と言うか、少女と父親の病院での場面がツボなので(中年男と少女が仲良くしてるだけで萌え)まあいいか、という気分に。
ただこれ、ちょっと頑張れば今の人類でも月に住めるんだよー、ってことを示したかったという作者の意図はわかるんだけど、下手したら月に住むという夢を矮小化することに繋がりかねないような。月に行く話に一般的に含まれるロマンチシズムその他もろもろもこの話にはほとんどなくて、そのへんが若干不満だったり。