桐生祐狩『剣の門』(背景色でのネタバレ含)

おお、これはとんでもない。まさにジェットコースターな読み心地。序盤、登場人物ほぼ全員の天井知らずな情緒不安定(ヒス持ち)さから来る異常なテンションに引っ張られてあれよあれよと言う間に流されて読んでたら、中盤あたりから今度は予想外のトンデモな方向に話がとめどなく発展!肉片飛びまくり!そして何やらわけのわからん結論が!ひどい!ひどすぎる!
だいたい冒頭あんなシーンがから始まってたら当然最後はこの和やかなシーンに戻って終わりだと思うわけだけど違って、あの後も話は続いて劇を見てた人はほぼ全員死亡するのだった……。なんてひどい作者なんだ……。裏表紙にある「インモラル」っていう言葉のニュアンスがわかった気が。でもラストではそのインモラルな感じを一応オブラートにくるんであって、なんとなく神聖で静謐っぽい感じで終わってるのがまたいい。
最初っから最後まで作者(の天然さ)に翻弄され続けたい人にお勧め。僕が一番ぶっ飛んだのはあのヤギが出て来る場面。いきなり乳絞りって……。