東川篤哉『学ばない探偵たちの学園』(背景色でのネタバレ含)

東川篤哉の学園物新シリーズ(になるんだよな、勿論)第一作。学園物ともなるともう僕はキャラクター小説としての側面がとっても気になっちゃうわけで、これに関しては「まるでオリJUNE*1みたいなキャラ配置だな」と思いました。おかげで読み始めはかなりの違和感が。でも刑事さん達が出てくるあたりでバランスはだいぶ良くなる。僕はあれだ。祖師ヶ谷警部萌えだな。
総合的に見るとキャラモノとしてはちょっと弱いか。一作目ということもあって各キャラが顔見せ程度の活躍しかしておらず、あまり見せ場を作っていないという印象。部長が結局事件の解決に全く貢献できてないというあたりは逆に賞賛したいキャラ設定だけど。探偵部の部員達が事あるごとに過去の有名本格ミステリを引き合いに出さないのもいい。そういうのはもううんざりだからな。
あ、あと本格ミステリとしてはですね、いかんせんトリックが弱くてなあ。一つ目の密室のトリック、あれもうちょっと派手に使えなかったんだろうか。学園物ミステリに付随する問題点(そんなに事件がどんどん起こる学校ってどうよ、とか)をどう解消するかということについては今後に期待したい。今作で既に「死体を発見してもまるで動揺しない学生達」というお約束をやってしまっているので以後改善されることを望みます。

*1:二次創作でないJUNEのこと。