伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』

これが噂の伊坂幸太郎か。初めて読んだけどたいして面白くないなー。と言うか、どっちかと言うとあまり好きでない部類に入っちゃうかもだ。やたらと多用される比喩とかやたらと出てくる“生きるヒント”みたいなの、陳腐すぎませんか。自分の言葉になる前に出しちゃってる感じがしてどうもねえ。そんなんじゃこっちまで届きませんよー。主人公がえらい不快な人物に見えるようになっちゃってるのもこのへんと関係してるかも。
まあそれでもミステリ要素が面白ければ何の文句もなかったのだけど、そっちもなあ、微妙でしてねえ。せっかくのいわゆる“異世界本格”なのに異世界ルールがあまり機能しないし、そもそも異世界っぽい感じが全くしないしな。それに「島に欠けているもの」の正体には心底がっかりしたですよ。この文脈でそれって、ありえねえ!あと“名探偵の苦悩”ネタはこの作品世界には不似合いだと思うので無理矢理絡ませないほうがよかったと思うぞ。
と言うわけで、この作者の本は当分読まなそう。