西澤保彦『仔羊たちの聖夜』

安槻市シリーズ第二弾はタカチが自分の勝手な思い入れで死人に感情移入しまくった推理が当たったり外れたりでずっぼずぼ!な話。いやーしかしこの「親という生き物は放っておくと必ず子供を独善的に支配をしようとする、危険なものなのだ」みたいな論調はどうか。僕はどっちかっつーとそういう歪んだ関係の中にロマンチシズムを見出すような感覚のほうが好きなのでなんだかなー、ですよ。それに“実例”として出てくる独善的な親がそれこそ戯画的なまでにひどいもんで、これと比べればそりゃあ子供のほうに分があるし、可哀想だってなもんでさー。こんなわかりやすいことでいいのかしら。返って作者の本気を疑うんだけど。
で、ミステリとしては第二の転落死の真相に唖然。これは、何と言うか、白ける。それにある意味痴呆患者に失礼じゃなかろうか。むう。
それにしても解説の光原百合!この人による解説といえば『盤上の敵』もひどかったけど、これもひどいなあ。まるでこの小説を道徳の教科書として読めとでも言ってるように聞こえるんですけど。この人の小説読んだことないのに既に「困った人」のイメージがついてるよ。全く。