リバース

おお、これはまさに西澤保彦の世界!でもないか。女刑事が偶然乗り合わせた車の運転手が逆上して殺害事件を起こし、彼女自身も追われて逃げ込んだ先はたまたま時間逆行装置研究所だった!過去に戻った彼女はどうにかして殺人が起こるのを防ごうとするが、事態は悪化するばかりで……という、モロに『七回死んだ男』なストーリーなので、SFミステリ好きにお勧め。ロジックもパズラー要素もサプライズもないけど、『七回死んだ男』の六掛け程度には楽しめます。
僕としては、過去をやり直すたびに逆に被害が拡大してしまう様をもっと前面に押し出してもらって、ブラックユーモアな風味を漂わせてくれると良かったように思う。突然「全ては虚しい」ムードに突入するラストにしてもあれでは弱いでしょう。ちょうど『ファイナル・デスティネーション』(→感想)シリーズみたいな感じがこのネタとこの出発点にはふさわしいかも。
あとはあれだな。研究所唯一の職員のブライアンが可愛かった。そのくらい。

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦

クレヨンしんちゃん映画は順々に潰していく予定。今作は野原一家が戦国時代にタイムスリップしてまたバカをやる……のではなくて、普通の、王道な時代劇でした。合戦シーンはなかなかに迫力があって、自分はアニメ映画を見ているんだってことをときたま忘れてしまいそうな勢い。姫と家臣の色恋沙汰の描き方もベタながら堂に入ったものでうまーい!泣けるー!ってなもんです。ラストシーンとか。と言うか、これはもはやクレヨンしんちゃんでやる必要ないのでは?とも思いつつ、野原しんのすけとその一家というキャラクターは今までの下積みもあってなかなか使い勝手のいいものなんでしょうな。そりゃしょうがないか。
巧くまとまりすぎててあまり云々する気が起こらないのですが、確実に良い映画なので世評の高さにも納得です。良くも悪くも子供向け映画的に都合のいい「死」の描き方あたりに微妙に屈託を感じなくもないのですが(泣けたけど)、さすがにこれにケチをつけてしまっては自分、天邪鬼以外の何者でもないな……という気がするので何も言いません。大好きとは言えないまでもまあ好きな映画ではあるので。

ジュラシック・パークⅢ

シリーズ1作目は昔見たもののほとんど記憶に無し、2作目は未見、というのが僕の立ち位置。で、この3作目はどうだったかと言うと、「まあ面白かった」くらいのレベル。煮え切りませんな。一番気になったのが主人公グラント博士の弟子・ビリー君の「あどけない顔のくせにいい体」っぷりというくらいですから。あれは何らかの方向へ向けたサービスなのか?吹き替え版だと声まであどけないせいでその傾向が更に際立ってたぞ。って、そんなことはどうでもいいですね。ごめんなさい、僕ちょっと釘付けだったもので。
ストーリーは恐竜うじゃうじゃの島から逃げ出さなきゃ!というシンプルなもので、脇筋の夫婦仲直りエピソードとかもシンプルながらエンターテインメント的に押さえるとこ押さえてんな、という感じ。CG恐竜はスケール感こそそれほど無いものの、かっこよくも綺麗にも見えた。が、恐ろしくは見えなかったのが残念。これは家のテレビの画面で見てたのが原因として大きいんだろうけど、もうちょっと緊迫感を感じさせてほしかったなあ。プテラノドンがエリック君(子供)を攫ってくシーンあたりの敢えてな感じの絵ヅラ的間抜けさからして、緊迫感云々よりも級映画的ワクワク感を優先してるのかなーという気はするので、別に問題ないのかもしれないけど。見終わった後の感覚として少々物足りなさが残ったのは事実。
キャストでは小市民的マイホーム・パパ役のウィリアム・H・メイシーって人が良かった。いかにも石橋を叩いて渡りそうに見える所が。ちゃんと後で勇敢に戦ったりもするし。この人ちょっとウィレム・デフォーに似てますね。エリック君役の子役はもうちょっと可愛らしくても良かった。あと、ビリー君役の俳優については前述の通りってことで。