米村圭伍『退屈姫君伝』

『風流冷飯伝』の続編。と言っても、舞台設定が同じなだけ(今回の主人公は風見藩に輿入れした姫君)で主要登場人物は総とっかえされておりまして、前作を読んだ人ならクスリとできる箇所がいくつかある、という程度。あ、ただ一人前作から続投のお庭番、倉地政之助は微笑ましくも滑稽な活躍を見せてくれて面白いんですけどね。
主人公達の手の届かない所で問題が解決した前作に比べると、主人公が真っ向から藩改易の大問題に立ち向かう今作のクライマックスの盛り上がりはなかなか。そして、とっ散らかった展開の末に貧乏藩の藩士達のとぼけた真面目さが見えてくるまとめ方も、前作と同じく面白い。変なとこに伏線を張る転がし方も堂に入っていて、やはり巧いなあということで。