池上永一『シャングリ・ラ』

常軌を逸したキャラクターが狂った世界設定の中を縦横無尽に暴れ回っていて滅法面白い。特に女性陣(ニューハーフ含む)の逞しさと言ったら、これはもう見惚れるしかありません。それに比べて男どもの影の薄さと言ったら。笑えるくらいだ。暴れ回る彼女達はそこかしこでぶつかり合いながらも必要以上に傷つけ合わずに、全員収まるべきところに収まってしまうのが楽しい。
要は、課題は残してもしこりを残さず、希望ばかりがすっくと立って見えるオチのつけ方が良かった、ということで。設定の面では、中盤で正体を現す異常に発達した植物が好き。劇画調のやりすぎなアクションシーンも良かった。