ドナ・アンドリューズ『恋するA・I探偵』

主人公の人工知能チューリング・ホッパーが恋する乙女的暴走を見せてくれるのかと思ったら、暴走どころかえらくまだるっこしい。チューリングが自身を安楽椅子探偵になぞらえるくだりがあったりするんだが、そうではなくて実の所は「足で解決」タイプのミステリじゃないかな、これ。なのに探偵役には(文字通り)足がないもんだからノロノロ展開になる。オチは見え見えなのにこの進行ではなあ。
事件を通してのチューリングの“人間的”成長はそれなりに描けていると思うけれど、でも、どうしても彼女が恋をしていたようには見えない。人工知能仲間のキング・フィッシャーの扱いは面白くて、ラストのアレには笑った。