デッド・ゾーン シーズン1

全話見終わったので長めの感想を。とりあえず、原作やデヴィッド・クローネンバーグの映画版とはほぼ無関係なので、それらのような趣を期待して見るのはお薦めしません。僕は主演のアンソニー・マイケル・ホール目当てで見たのだけれど、彼はそれなりに役に嵌って、どこか安っぽいなりに看板を背負えていたので満足。
では良かったところから。まず、人情ドラマ的展開でしんみりさせるのがなかなか巧い。特に第1話の中国人母子の再会シーン、第9話で主人公ジョニーが銀行強盗犯と交わす会話なんかはしんみりした。この路線のベストは第8話、ジョニーがありえたかもしれない幸せな生活を体験し、そこから戻った後にサラ(元婚約者)と切ない電話を交わすシーンでしょう。あと、意外に脇キャラの扱いが丁寧。女記者デーナや牧師パーディといった捨てキャラっぽい面々にも見せ場を与えているのが好印象。
次にダメなところ。まず、僕が結構期待したSFミステリ的要素はもう全然ダメ。ジョニーの超能力に関する設定が一向に定まらず、どんどん緩くなっていくので、SFミステリとして成立するはずもないのであった。そして、ジョニー―サラ―ウォルト(サラの夫)間の微妙な関係を軸にドラマを進めるのは大いに結構なんだが、サラが思わせぶりな行動を取りすぎてすごくイヤな女に見えるようになってしまっているのはどうかと。連鎖的にウォルトは必要以上に苦労人に見えるし。
とまあ何だかんだ言って楽しんだところで、最終話のこの尻切れトンボっぷりはどうだ。シーズン2もちゃんと放映してくれるのか、すごく気になる。