福澤徹三『怪を訊く日々』

ザワテツ*1の実録怪談集。この種の本としては『新耳袋』よりも平山夢明の『怖い本』や『東京伝説』シリーズよりも平谷美樹の『百物語』(これはちょろっと読んだだけ)よりも面白かった。さすが達人。ときどき本筋から脱線して作者の怪談に対する思いが語られる箇所がまた面白い。
「鳴き声」における「うわあ、うわあ」、「スタジオ」の「くしゅくしゅくしゅ」などなど、奇声の表し方一つとってもとてもおぞましく描けていて巧いなあと思う。何が起こったのか一切記されない「花嫌い」がそれゆえに最も恐ろしいかも。

*1:今考えた愛称