マイケル・マーシャル・スミス『みんな行ってしまう』

よくわからないヘンな設定が平然と語られた後に暴走したり、そのまんまだったりなお話×12。一時期の『ショート・ショートの広場』を読んでるような気分で読み終えました。適度に不親切で適度に独り善がりで適度に虚しくもワンダーで、楽しい。
集中のベストは「地獄はみずから大きくなった」かなあ。『ちーちゃんは悠久の向こう』で不満だった点をクリアしたチープな絶望SFで面白い。「あとで」「いつも」あたりのそれこそ『ショート・ショートの広場』入選作のような不条理ホラー調も悪くないし、「バックアプ・ファイル」のブラックさも好きだ。あとは「ワンダーランドの驚異」! おばあちゃんカッコいい! バドとスラップカッコいい! この人の長編がもっと読みたくなった。