マイラ・ゴールドバーグ『綴り字のシーズン』

最近こんなんばっかですが、映画版の予告編*1がいい出来だったので公開前に原作を読んでみました。そしたらこれがとんでもない。『ボビー・フィッシャーを探して』のような爽やかな話を期待した僕はもう、ええーっ!という感じ。
端的に言えば、家族崩壊ドラマの登場人物をホンモノのガイキチ揃いにしてみたら家族どころかドラマ自体が崩壊しました、というような内容。最初はあくまで共感可能な範囲にあった家族それぞれの問題が、どんどんどんどんアブナい方向へと発展してゆく様は圧巻。家族の崩壊が遂に表面化する瞬間に至っても、だーれもそれが表面化していることに気付きさえしないのには参りました。そのくらい、彼等は豪快にすれ違っている。これでは憐れむこともできない。なんて救いがないんだ……。
こうなると映画版への期待がちょっと違った方向のものになってきました。一体これをどう料理して感動的なホームドラマに仕立て上げたのかなー。気になる。