アバウト・ア・ボーイ

原作者と監督と主演男優の幸福な出会いという感じで、それぞれのいい所がきっちり光って見える。ニック・ホーンビィ原作なので例によってダメ男の話なのだけど、『ハイ・フィデリティ』のときのような「いい気なもんだ」感はなくて、甘いエンディングに心地良く甘えられた。それは主演のヒュー・グラントの自己愛(演技)がジョン・キューザックのそれに比して大幅に見やすい、ということなんだけど。
ともあれ、この映画のヒュー・グラントは未だかつてなく魅力的だった。もう一人の“ボーイ”たる子役のニコラス・ホルトの妙に達観しちゃってる感じも可愛い。それからこの企画の監督を『アメリカン・パイ』のウェイツ兄弟(って言うのか)に振った人は偉すぎる。クライマックスのロックコンサートのシーンの楽観的な成り行きが許せてしまうのは彼等の功績でしょう。