西尾維新『ニンギョウがニンギョウ』

例のやつ。あの読者サービスの塊こと西尾維新がこんな、誰にも求められていないような小説を書くとはびっくりなんだけど、そんなに悪くもないですね。特に面白くもないんだけど。
お話は二十三人の妹を持つ「私」のシュールな日常、という感じで、それほど無理は感じられない器用な出来。だけれどいつもとほとんど変わらない文体で描いているところに違和感が。日常の中に突然シュールなものがぴょっこり、って話の語り口が無駄に饒舌というのは食い合わせが悪い。それはそうと、オチと言うかラストの一行は綺麗に決まっていて良かった。