鳥飼否宇『痙攣的 モンド氏の逆説』

美術・音楽を巡り、辛口批評家ひぐらし*1主水が事件に巻き込まれる連作本格ミステリ短編集。
収録された短編を一つずつ読んでいくと……ぎゃ、なんだこりゃ!陳腐な芸術論を延々並べた後にこんなあさっての方向に突き抜けたオチを持って来るとは。おまけに本格ミステリスピリットたっぷり!さすが国内バカミス界の未来を背負って立つ男、鳥飼否宇。よくぞここまでやってくれました。今年のバカミスベストの座は堅いと思われた『百番目の男』(→感想)が早くも二位に転落、ベストはこっちだ!なるべく先入観無しで読むのがいいと思うのでこれ以上の紹介は致しません。全てのバカミス読者は必読。特にこの作者の『本格的』が面白かった人は必読!
いやはや。こういうのを読むと、まだまだ本格ミステリって面白くなれるんだなあ、と思います。幸せ。

*1:漢字がどうやっても出ません。「寒」に「蝉」に似た字。