矢野龍王『時限絶命マンション』

主人公が管理するマンションで突然始まった殺人ゲーム。指定時間までに人形を他の部屋に渡さないと、首輪が爆発し、死に至ると言う。おまけに外に出ることも誰かを招き入れることも禁止。煩悶する彼を置き去りに、事態は進行していくが……というお話。
ダメだこりゃ。ほんとどうしようもないなこの作家。ゲームの設定自体はそこそこ興味を引いた前作(→感想)と違って、もうしょっぱなから気分を萎えさせてくれるこの↑設定。そんなこちらの気持ちとは裏腹に、一瞬で怯え上がり理解不能な理屈で動き出す書き割りなキャラクター達。で、終盤ちょこっとだけ下品な盛り上がりを見せそうになった……と思ったところでこのオチか。読者に「それがアリならなんでもアリじゃん」と思わせた時点で終わりですよ。うーん、清涼院流水御大や霧舎巧のように、「作者が提供しているつもりのもの」と「読者が受け取るもの」のズレを楽しめるというわけでもないあたり、辛いな……。
と言うわけで、三作目は読みません。