倉阪鬼一郎『冥い天使のための音楽』

奇妙な塔を伴った古い洋館。その庭には、“彼”が作り出した死体が埋まっている。死体の数が増えるたび、“彼”の館は完成に近づいていき、ヴィオラ奏者の香子は少しずつその企みに巻き込まれてゆく……というお話。
あの倉阪鬼一郎がミステリー・リーグで何書いたんだろう、と思ったら中身は森博嗣ばりの「伏線はポエム調文章の中に隠せ」方式のミステリでした。改行が異様に多い上に文show*1並みに整形してある部分もあって、この上結末ではどんなことをやらかしてくれてるのか……と慄きながら読み進めてみたら、オチは意外に真っ当。しかしいかんせんミスリードを仕掛けすぎてゴチャゴチャしてしまっている感は否めないなあ。やはりこの人は本格ミステリ以外の作のほうが面白いと思う。
この小説で犯人当てクイズなんかやったら絶対正解率が低そうで、ちょっと楽しそう。

*1:清涼院流水の文章のこと。