シャーク・テイル

海の底の魚達の世界。リーフの最底辺暮らしに不満を抱く小魚オスカーは、ふとしたことからみんなが恐れるサメを殺したとの勘違いを受ける。たちまち有名になり、リーフのてっぺんに住処を構えるようになった彼だが、同僚のアンジーや事件で知り合った心優しいサメ・レニーと触れ合ううちに、心に葛藤が生まれ……というお話。
ドリームワークスのロゴのあの男の子の釣り糸の先に……というオープニングに続いてサメが『ジョーズ』のテーマを口ずさむ掴みはかなりイイ。ただ、主人公オスカーがあんまり気のいい魚に見えなく、彼が改心するきっかけも弱い(しかもこれにレニーがほとんど関与しない)ってな具合の本筋には何度か首を捻ることに。
そして最後まで観て心に湧き上がったのは、あの『シュレック』を作ったスタッフでも「動物擬人化ファンタジーにおける肉食=悪という構図の欺瞞」を奥に引っ込められなかったか、という感慨でした。これが一番の残念。うーん、その点やはり『ファインディング・ニモ』は偉かった。
声優陣は声だけになっても鬱陶しい主演のウィル・スミスを除けば概ね好演。アンジー役のレニー・ゼルウィガーは想像以上に達者で感心した。レニー役のジャック・ブラックはキモ可愛い。オスカーの上司のハリセンボン役のマーティン・スコセッシまで意外にチャーミング。