刑務所の中

銃刀法違反やら何やらで日高刑務所に3年入ることになったハナワカズイチ。初めて入った刑務所の中はおかしな奴等ばっかりで、規則でがんじがらめとは言えなかなか快適だったりして……というお話。
萌え映画は不意にやって来る、という例。いやだって刑務所実録マンガの映画版が「遅れて来た男子寮モノ」になってるなんて誰が思うか。と言うわけで、主に前半で描かれる房内でのシュールながらも和気藹々としたやり取りには非常に心躍らせられた。厳格な規則の下で暮らす楽しみというものがたっぷり伝わって来る。盛り上がったりしないままなんとなーく終わってしまうラストもいいんじゃないだろうか。
主演の山崎努は、この人がいなかったらヤバかったろうな、と思わせるほど映画全体の出来に貢献した名演。「相変わらず暗くていいなあ。受刑者の中で一番好き」などとのたまうとぼけたナレーションが最高。他ゾロゾロ出て来る豪華キャストも概ねさり気なくいい仕事をしてる感じ。僕のお目当て香川照之はここでも坊ちゃん役で、泥臭い立ち振る舞いがなかなか良し。「ビューだね」っていう口癖を真似したくなった。