グレッグ・イーガン『万物理論』

映像ジャーナリストの主人公は全ての物理的存在を説明する“万物理論”の提唱者のうち、最も若い女性化学者について取材することになった。理論の発表は生きている人口の島ステートレスで行われることになり、彼もそこへ向かうが……というお話。
某有名ライトノベルとちょっとかぶってるメインのネタは面白かったけれど、全然趣味の合わないオチがついてしまってがっかり。ここまで書かれてもまだ“世界の真実”なんて知らなくていい、としか思えないなあ。ラストに見えるある種の希望にしても主人公やその味方達の“弱さ”にしても、実に押し付けがましく感じられてしまっていけない。汎性の扱いも徹底されていないと思うし(結局“ヒロイン”なんじゃないの?って感じ)。
もしかしたらイーガンってあまり合わないのかな。『しあわせの理由』は面白かったんだけどなあ。