森村誠一『人間の証明』

森村誠一を読むなんて物凄く久しぶり。西条八十の詩集をタクシーに忘れたまま、ある黒人青年が日本のホテルのエレベーターの中で死んだ。死因は刺殺で、どうやら刺されたまま長距離を移動したらしい。事件を巡り、謎を追う刑事、失踪した妻を捜す夫、有名育児評論家を母に持つ孤独な青年の運命は絡み合う……というお話。
久しぶりに読んだら意外に悪くなかったですよ。複数の視点人物がどういう風に絡むのかが早い段階で割れちゃってて勿体無い感はあるものの、殺人者と被害者の哀しい事情がちょうといいベタさで描かれていて満足。それに絡む主役格の棟居刑事側の事情もほとんどギャグみたいなんだけどちゃんと深刻ぶってくれるので気持ちいい。こういうしっかりとしたベタさは好きだ。
これを読んで今やってる(もうすぐ終るのかな)ドラマのほうにも興味が出てきちゃったのだけど、どうしようかな。小説版の棟居さんにはえらく萌えなんだが。