西尾維新『新本格魔法少女りすか』

地獄のように冷めていて異常な程に頭がいい小学生男子キズタカと無邪気な天才魔法少女りすかが、りすかの父親を探す目的のため繰り広げる魔法大冒険!な、連作短編集の第一巻。全三篇収録で、各編の内容はそれぞれ、赤川次郎風ぬるいミステリ、厄介な魔法の抜け穴を探せ!なミステリ風冒険物、ドラえもんひみつ道具暴走系バカSF、というところか。
僕がこの本及び西尾維新作品を支持したいのは、何だかんだ言ってキズタカは本質的なところで二階堂黎人の「ボクちゃん探偵」とそれほど変わらない、ということを示す手つきがクレバーさに欠けていて、それによって醸し出される「甘さ」、もしくは「生温い娯楽性」みたいなのが好きだからかな。よくわからんけど。
わりと酷いオチの第二話の後にすぐ甘めの第三話持ってくるあたり、ちょっと笑っちゃうんだけど、でもそういうのが好きなんだろうな。ちなみにミステリ要素が一番面白かったのは第二話。魔法という要素を上手く使って意外な展開を組み立てられてると思った。