ゴッドandモンスター

かつてホラー映画の名監督として名を馳せたジェームズ・ホールも今は引退し忘れられ、ただの気取り屋で孤独なゲイの老人となっている。脳卒中の影響で過去の情景がたびたび目の前に甦るようになった彼はある日、新入りの筋骨隆々の庭師クレイトンに目を止める……というお話。うおー、泣けるー!こんなに泣ける映画だと知ってれば下世話な興味(「イアン・マッケランブレンダン・フレイザーに性的嫌がらせをする映画? ゲッヘッヘ」的なモノ)はある程度捨てた上で見たのに!なんだか少し自分が居たたまれなくなったぞ。
ジミー(ジェイムズ)とクレイトンの切ない関係性についての映画として見たいのは山々ながら、これは結局ジミーの孤独さ、哀れさを描くためのお話であり、クレイトンってのはそれがどのような種類の孤独なのか示すためにいるキャラクターなんだろうなと思った。プールの場面とか、映画『フランケンシュタイン』の取り込み方とか、ラストシーンだってちょっとベタながらもとにかく、切ないくらい綺麗に歪んでいて、苦しいくらいに可哀相だ。でも腐れロマンチストである僕が一番泣けたのはやっぱり「アイム・ノット・ユア・モンスター!」の所なんだけど。
主演のイアン・マッケラン及びクレイトン役ブレンダン・フレイザーには全く文句がないです。イアン・マッケランは仕草の一つ一つに至るまでいちいち雰囲気を作り出すような芝居が素晴らしい。ブレンダン・フレイザーも学は無いけど繊細な筋肉男というキャラに合っている感じ。でもこの人って上品なわけでは決してないのにどうしてファックユーとかサノバビッチとかいう類のセリフが似合わないんだろう。別にいいけど。