ジョー・R・ランズデール『モンスター・ドライヴイン』

ぼくたち“人種混成チーム”の4人がリーダー的存在のウィラードとのお別れ会のためオールナイトB級ホラー垂れ流し中の馴染みのドライヴインシアターで一晩過ごしてたら、シアターの上空に赤い彗星が来襲して、お客等をみんな異空間に閉じ込めてしまった!閉じ込められた空間の中でぼくたちは観ていた映画さながらのB級ホラー映画的バトル・ロワイヤルを演じることに……というお話。案の定食料が尽きて案の定……な事になってたり、ホラー映画の神が君臨!したりするグロテスクかつ唐突な展開は面白く、主人公の少年が世界はタチの悪い冗談なんだ!ってことを悟り諦観してしまうまでを描いた小説として読むとちょっと切なかったりも。エピローグの新展開(?)も冗談キツくていい。馬鹿馬鹿しい悲しみと安っぽい絶望にまみれてますな。
ただ、主人公君が落ち着きのある人物なせいで、どうも起こってることのヒドさ・馬鹿馬鹿しさが何割り減かに感じられてしまうのは不満だなあ。完全にイっちゃったりヒステリックに怯えたりする人たちが右往左往してる様をもっと読みたかった。主人公とその友達連中の人間関係ももっと濃密に描いてくれて良かったな。せっかく「友達だった人があんなモノに……」っていうおいしいネタがあるんだから。キャラ立ってたのが牧師ぐらいってのはちょっと寂しいでしょうよ。