西村京太郎『華麗なる誘拐』

まさか再び西村京太郎を読む日が来ようとは。小中学生の頃はよく読んだけどなあ。ちなみに今回読んだのはmix deepestの課題本になったため。
お話は日本国民1億2000万人を誘拐するという前代未聞の誘拐事件の顛末を描いたもので、人質となった国民が日々殺されていく中、名探偵左文字進と犯人グループとの熾烈な頭脳戦が繰り広げられる、というような感じ。壮大で独創的な誘拐計画が実行されていく様にはワクワクしないでもないんだけど、流水大説レベルの被害者数に慣れ切ってしまった身としては、もっと死人出せ!などと思ってしまうことしきり。まあ流水大説云々は置いといても、スケール感のデカさをもっと強調してもよかったんじゃないかな。犯人グループの巧妙な身代金回収方法とそれが招く計画の崩壊については素直に面白いネタだなと思わせられた。オチの付け方も綺麗に決まってていい。
ただ、書かれた時代が時代なんで言葉使いとかセンスの点で相当古びてる感は否めず、そのへんはニヤニヤ笑いながら読むといいと思った。僕は「ブルーライオンズ」という犯人グループの名前に対する左文字の妻のコメントが笑えました。この左文字妻はなかなかナイスキャラで、夫婦漫才的な会話が楽しめるだけに、夫婦の会話シーンが少なめなのがちょっと不満。もっと多いほうがキャラが立ったと思うな。