ポピー・Z・ブライト『絢爛たる屍』

脱獄した連続少年快楽殺人鬼アンドリュー(ゲイ)はニューオーリンズで連続少年快楽殺人食人鬼ジェイ(やっぱりゲイ)と運命の出会いを果たす。彼等はヴェトナム人の美少年トラン(こちらもゲイ)に狙いを定めるが、トランの元彼ルークも彼に未練を残していて、トランを追い求め……というお話。全編が男同士の激しくもお耽美なセックスシーン及びグロテスクな(でもやっぱりお耽美な)殺人&食人シーンに満ち満ちていて、ダメな人はうんざりするかも。僕はそういうの好きなので抵抗なく読んだのだけど、このエロ及びグロ描写はワンパターンじゃないかな。別の意味でちょっと食傷してしまった。せっかく同性愛の上に快楽殺人なんていうネタを扱ってるんだから、もっと倒錯感を感じさせて欲しかったのだけど、わりとお耽美一辺倒だよなあ。
だから面白かったのはお耽美路線からちょっと離れてるような部分で、アンドリューがジェイを精神的に支配しようとする過程とか、終盤で「結局は愚直に純粋な愛を貫き通す者が勝つ」みたいなロマコメ的展開になるかと思いきやあっさり某人物が死んじゃったりする妙な展開とかが気に入った。と言うか、その部分に限らずストーリー自体は全体的に面白いのだ。バリエロお耽美趣味とも言うべき描写の仕方がちょっと鼻につくだけで。だからこれはきっと面白い本と言っていいんだろうな。作者もお気に入りらしいアンドリューのキャラクターは変態ちっくに天才性を感じさせてカッコイイのでおすすめ。