牧野修『呪禁捜査官 訓練生ギア』

呪術が発展し、科学よりもずっと社会的地位が上昇した世界(科学の信奉者は馬鹿にされる)において、呪術犯罪を取り締まる正義の捜査官、それが呪禁官だ!というわけで、呪禁官養成学校において若人らが互いに高め合い、友情を深め合う話です。文体はねっとり気味なのに内容は古式ゆかしい学園モノ風の爽やかさなもんでなんだか胡散臭く、そこがいい。もしくは、明らかにおかしい世界設定の下で平然と普通の学園モノやってるところが面白いのかな。
でも「オカルト信者への恨みに燃える機械の体を手に入れた中年男」キャラの悲哀感(と、倒錯感)とか先輩から受ける苛めとかのあたりはもう少し業が深い感じで書いてもらっても良かったかな。使い魔だの天使だのの描写は文句ないんだけど。全体的に、とても読みやすく一気に読める楽しさで、でもスッキリしすぎててちょっと拍子抜け、という感じ。
あと、一見やおいにしやすそうだけどその実とってもしにくいものなのでは、という気がした。なんか、オリJUNE的な“もう既に出来上がっている感”があるんだよなあ。まあこんな話はいいんですけど。