タイムリミット

ハメられた男が容疑から逃れようと奔走する倒叙物っぽいサスペンス……なのだけど、そこに至るまでの前置きがやたらと長ったらしく、退屈。しかしいざ本筋が始まると意外なことにこれが結構面白いのだった。それもコメディ的な意味で。
特に主人公が必死で通話記録を改ざんしようとするシーン、ホテルでの一件の場面にはなかなかに(心の中で)笑わせてもらった。画面の中で起きてることは緊迫感漂うことのはずなのに、カメラワーク(意味なくしつこく人物の顔に寄っていく)や音楽が盛り上げすぎなせいか、お間抜け感ばかりが強調されていてとても愉快。スピーディーな展開ではあるのにこんなにお間抜け感が漂うってのはすごいかも。僕はデンゼル・ワシントンはあまり好きじゃないのだけど、こういうオロオロしたりせこい工作をしたりする情けない役なら気持ちよく見られるということがわかって良かった。“真の黒幕”はもっと戯画的なくらいの悪人にすべきでは?とかいろいろ不満もあるけど、予想外に笑えたので不満は言わないことにしよう。可笑しかった。