デイヴィッド・トーマス『彼が彼女になったわけ』

取り違えられて性転換手術を受けさせられてしまった普通の男性のその後の顛末を描いたお話。いわゆるTSF*1ってやつですな。このジャンルのものっていうのは結局男性向けポルノ的基礎を持った小説として出発しているということが足枷になる場合が多いよなあ。ポルノとして割り切ってるならまあ別に問題ないわけだが。実際、この小説もレズビアン・セックスのシーンなんかは丸っきり男性向けポルノだし。
でもこの小説の場合は男性向けポルノ的地点から出発しつつも、終盤ちょっと女性向けロマンス小説っぽい雰囲気になっている部分(ジェームズ医師絡みの話のあたり)があったのがなんだか面白かった。本当にそのまま摩り替わってくれると良かったのだけど、最終的には性差とは?性転換とは?みたいな据わりのいい所に落ち着いちゃったのが残念。まあ普通の出来かな。しかし女性は読んでてあんまり愉快な気分じゃいられないかも。

*1:Transsexual Fictionの略。性転換ネタを扱った創作物。