マスター・アンド・コマンダー

あれ。JAROから警告受けたとかいう、あたかも少年士官候補生達が主役であるかのような宣伝はそんなに間違ってもいないじゃないか。一番若い候補生のブレイクニー君が主役ではないにしろ、3番目くらいのポジションに着けてるし。ブレイクニー君は序盤で不具になったり親しい仲間にどんどん死なれたりする中でも健気に頑張っていてかわいらしいな。見ていて伝わる“子供”感に嫌味がない。
でも全体としてはえらい中途半端な映画だと思った。シリーズ物の原作の途中の巻を映画化したものだということもあって、TVシリーズの何話目かだったら納得な出来なのだけど、これを単独で見せられるとちょっと物足りない。もっと娯楽映画に徹したほうが良かったんじゃないかなあ。敵方の内情を一切描写しないあたりは正解だけど、微妙な政治的要素が邪魔だ。船長と船医の関係ばかり描写されて船長と士官、士官と水兵、士官同士などの関係からドラマがあまり生まれないのも不満。船医役のポール・ベタニーのファンとしては嬉しくもあるけど。あと、重要な「死」のシーンはもっと、「うわー死んだ!死んだー!」って感じに描いてくれなきゃ燃えないぞ。見捨てられて死んだ士官候補生の死に関してはなかなか良かったが。
ちなみにこの映画一番のナイスキャラはマチュリン船医を押さえてホロム候補生だと思った。あのダメダメっぷりはなかなか良い。もうすぐ30才になるようにはちっとも見えないあたりも。