オー・ブラザー!

これはグッときた。たまらない。まずセピア系の色調の映像が綺麗。綺麗っつってもいわゆるMTV的な綺麗さではなく、わりと感傷的な感じを受ける綺麗さ。冒頭の脱走兵三人が綿花畑(?)を逃げていく画面からして既に絵画的美しさがあって、否応なしに引き込まれる。他にも再洗礼派だかなんだかの儀式に紛れ込むシーン、銀行強盗に出会うシーンなど、胡散臭くも幻想的なシーンがたくさん。更に脚本も大体において文句のない出来。僕は前半部のストーリーになんとなく現代英米文学っぽい感じ(適当)を受け取っていたので、最後までそんな感じだといいなあと思ってたのだが、やはり物語が集約されていく部分はコメディ的であった。別にいいのだけど、ちょっと残念。正直言うとこの話で泣きたかったもんで。俗っぽい人間ですみませんが。
でも、脱走兵三人の必然的にそうなっているからそうである的な仲間意識とか、道中出会う人達が彼等を“通過”していく感じ(後で再登場する人もいるのだけど、その再登場の仕方のどうでもよさ加減も含めて)はやはり文学ちっくだと思う。そこが好き。あと、キャスティングもいいよなあ。ジョージ・クルーニーの使い方なんて絶妙という他ないような。チビ役の役者も役に合った存在感でよし。この二人に比べるとジョン・タトゥーロは普通かな。ということで、良い映画でした。