メアリ・ド・モーガン『風の妖精たち』

人外ネタの童話集。おおー、童話だ。こんな童話っぽい童話は久しぶり。グリムとか思い出しそうな懐かしさ。そんないささか手垢の付いた物語がちゃんと飽きずに読めるのは、小道具の設定や描写に手が込んでいたり(トランペットになる蛇がまた蛇に戻ったりするあたり、良いな)、童話の常として登場人物の言動がよく考えるとこわー、なものだったりするから、かな。声の失ったオスマルに無理矢理約束させるフルダは怖いと思いました。
集中の個人的ベストは表題作。あくまで妖精たちとの約束を守り通す主人公の姿が、パターンとして王道ながらとても悲惨で変で、良いと思う。
まあでもそんなに読んでよかったって感じの本じゃなかったかな。面白いんだけどね。妖精とか好きな人にはお勧め。