ポール・アルテ『死が招く』

どうでもいいけど裏表紙の著者近影がなんかイメージと違う……。いや、どんなイメージ持ってたのかと聞かれると答えに窮するのですが、なんか微妙に違う……。
と言うわけで話題の(と言うより話題に乗り遅れた感あり)「フランスのカー」ことアルテ初読み。二作目からだけどたぶん問題ないでしょう。さすがに評判なだけあって冒頭で提示される謎、と言うか、鍋に焼けた顔と手を突っ込んで銃を握って死んでいる死体という図が非常に魅力的。それに密室だの顔と手が焼かれた死体だの双子だの遺産相続だの蘇る死者だの小説の筋書き通りに起こる事件だの、本格ミステリのお約束的要素がてんこ盛り!そして本格ミステリ的に余計な要素は一切切り捨て!名探偵であるところのツイスト博士のキャラクターに何の独自性も持たせようとしてないところとかいいなあ。融通が利かない感じで。さらに日本の新本格みたいなくらーいムードは無くてわりとカラッとしてるとこが個人的にポイント高い。死体を前にしてミステリ談義で盛り上がっちゃう不謹慎さもここではとても微笑ましく感じられるし。
しかーし全体として満足いったかと言うとそんなことは無くて、まず密室トリックがしょぼいのにちょっとがっかりー。あと犯人を導き出すロジックがあまりスマートさが無い一点突破型なのもなんだかなあ。もちょっと謎が解き明かされる爽快感が欲しかったのだよ。とは言え意外な犯人のこの“意外”な感じがまたお約束でよし。機会があれば『第四の扉』も読んでみるかな。