エドワード・ゴーリー『優雅に叱責する自転車』

その筋では有名らしい漫画家による絵本。タイトルの訳し方に苦労しましたーみたいなことが訳者あとがきに書いてあるけど、この訳し方で正解なのではないですかね。このタイトルにはやられるでしょう。
で、中身だけど、かなりすっとぼけ。いや、ちょっと凄まじいくらいにシュール&ナンセンスなのだけど、その語り口がすっとぼけているせいで微笑ましいというか、馬鹿馬鹿しい。そしてそこが良かったりする。すっとぼけてるのは文だけじゃなく絵もで、メインのモチーフであるはずの自転車の書かれ方からしてなんか適当。割り箸で出来てるみたいに見えるし。
一番気に入った部分は第7章で、「すごくたくさん カブ畑の前を過ぎましたが/季節が違うので、カブは全然見えません。」っていう文が延々と続いている平坦なカブ畑の絵を通り過ぎている絵に添えられてるだけなのだけど、何故かこれが絶妙。おかしいなあ。あと、「死ぬぅ」って言ってるワニとか、自転車の唯一のセリフが「いやはや!」だったりするとことか、あーほんとに馬鹿馬鹿しいけど底が読めない。
こういう本が手元にあると気分がいいだろうなあ、とは思いつつ買う気にはならない。でも面白いよ、これ。