ジョン・アーヴィング『ホテル・ニューハンプシャー』

やー面白いなあ。長い小説が読みたい気分だったので読んだのだけど(そしてアーヴィングは初読みだったのだけど)、期待以上に面白かった。長いけど乗って来るとすらすら読めるし。家族ネタはもう食傷気味かと思ってたのだけど、やはりスタンダードは面白いのでありましたー。
これって読んでくうちに登場人物の誰かに入れ込まずにはいられないだろうと思うのだけど、僕のお気に入りはフランクでありまして、虐められてたとこを助けられた後仕返しでシンバルを叩き続けてるとこなんか最高。ジョン(語り手)じゃないけど、本当に彼は愛すべき人物と言うべき他ないねえ。あと人死にが結構出る小説なのだけど、死んでもさらっと流される人とその死が重々しく扱われる人の違いが面白い、と言うか笑える。ハワードのあの扱いはないよな。
と言うわけで至極面白い小説だった。解説でも言われてる通り、言い古されたフレーズの中にも切実なニュアンスをこめることができるとこがこの作者の凄いところだと思う。読み終わった後はあなたも心に熊を飼う人に、って感じか。たしか映画化もされてた気がするけど、見ようかな。