寺山修司『赤糸で縫いとじられた物語』

童話集。さすが寺山だけあって詩的な感じ。『少女詩集』に近いかな。あれよりはもっと飄々としてるように思うけど。
ストーリーのみを追うと「愛ゆえに生じたすれ違いの悲劇」みたいな話が多いのだけど、それよりはもっと小道具的な部分が気になった。物語の導入部のシュールな出来事を淡々と、しかし微妙に微笑みを浮かべながら(もしくは少し悲しげに)語る感じが、とても好き。こういうのは好き。
集中の個人的ベストは「かくれんぼの塔」かな。これ、一番シュールだと思う。加えてかくれんぼをする「若い男」と「年とった男」の関係がいいなあ、どうしようもない感じで。萌える、と言っても良い。