芝田勝茂『ドーム郡ものがたり』

王道ファンタジーっぽい児童書。主人公の女の子がドーム郡という集落(?)をフユギモソウという人の心を荒ませる花から救おうと奮闘する話。
児童書らしからぬ「闇」と言うか「毒」と言うか、そんなものを期待してたのだけど、これは普通に心温まる話だったように思う。いや、それならそれでいいんだけど、この作者の『夜の子どもたち』っつーのは「闇」を深く感じるような話だと聞いてたもんで、期待しちゃってたわけです。
と言うわけで偽善という言葉を嘲笑うようなストーリー展開なわけですが、僕はそれよりも世界設定のほうに興味が惹かれたかな。表紙の裏にその世界の地図が載っていて、それを見ながら読み進めていく感覚は快かった。一つ一つに名前がある森とかね。まあ、これはよくある感覚だけども。
かかしに萌えればいいんだろうなあと思いつつ萌えられなかったのが僕のこの物語への適性の低さを表しているなあと思ったり。まあ、いいけど。あ、あと気になったのが、ヒショーさんはどうなったの?ってことだな。彼にも歌わせて欲しかった。それでこそハッピーエンドだという気がする。