川島誠『セカンド・ショット』

ごめんなさい。この本はきっとたいして面白くないだろうと思ってました。そしたらかなり面白くって、びっくりだ。いやー、ごめんね。
子供向けの『だれかを好きになった日に読む本』というアンソロジーに収録されていて、それを読んだ子供達(僕もその一人)に高レベルのショックを与えた「電話がなっている」という短編がこの短編集には入っていて、僕はそれが目当てでこの本を読んだのだけど、改めて読むとネタがわかってるせいかそんなに良いとも思わなかった。でも、その代わり他の短編がすごくって。
表題作なんか、あまりにいい話なもんで途中で本を閉じて、感じ入ってしまった。この話に代表されるように、この作者は語り手をいい人でもない、でも悪い人でもない人に書くのがすごく上手いと思う。読者を安心させてしまわないキャラ造形と言うか。あと、語り手の子供が置かれている苦しい状況が描写されてそれで終わり、え?その子の悩みは解決しないの?って話が多い。これもすごいことだと思う。こういう読後感の好きだなー。
いやー舐めてかかって悪かった。この本は面白いです、はい。