エラリイ・クイーン『盤面の敵』

クイーンは5、6冊読んだはずなのに全く内容覚えてない上に、この作品はSF作家のスタージョンが代筆したものであるらしく。そういった意味では評価が難しいかも。
この小説、僕は面白いと思ったのだけど、だからと言って褒めていいものかどうかはわからない気がしてしまった。何故ならこの小説、解決編まではウォルトに手紙を送ってる人は誰ー?といったちょっとサスペンス的な興趣を盛り上げるのがとてもうまくいっていて、引き込まれて読んでいけるのだけど、解決編に入ると……あれ?急に話のジャンルが変わったような。なんだよ、多重人格ネタかよ。そういう方向の解決を求めてたわけじゃないんだけど……ってなってしまう。
僕はこういうふうなちょっとずらした解決の提示で雰囲気をもやもやとさせるのって好きなのだけど、これって作者が狙ってやったものなのか、それとも苦し紛れにこうなったのか判断がつかない。だからそういうところが好きだ、って言ってしまっていいものかなあ、と思ってしまう。なんともはや。
本筋と全く関係ないところの感想を述べてみると、ウォルトが手紙を燃やさないでとって置いたことが判明したときにときめきを感じた。あうー、たまらん。