今野緒雪『マリア様がみてる』

む、難しい。下手な現代思想書とかより難しいのではないだろうか。なんか、読み終わって自分がどんな感想を持ったかの分析がうまくいかない。しかしM←dのクロスレビュに参加するので感想を書かなければいけないのだった。ということで無理やり搾り出せば、
シリーズ一作目ということで、主人公の愛らしさとでも言いますか、そのへんを書くのが一番大事なところではないかと思うのだけど、そのへんはとてもよく書けていて良かった。でも紅薔薇のつぼみにとって裕巳がかけがえのない存在になる、というあたりの展開がやや唐突と言うか、いや、これはこれでいいんだと思うんだけど、紅薔薇のつぼみが途中まで妙にじらしてるように感じられてどうもなーと言うか。でも「この花のこと、覚えておいてね」のところが夢見る乙女のハートを直撃な感じだったので問題ないです。
あとはやっぱり紅薔薇のつぼみの男嫌いのきっかけにかなり無理があると思うなー。あんなややこしい話にしなくてもよかったのに。と言うか、あのエピソードはもしかして紅薔薇のつぼみの裕巳への気持ちは友情であって愛情でないという念押しのためにあるのだろうか。それなら成功だが。
何だかんだ言ってこの本を読んだ一番の目的、ごきげんようでお姉さまで名前にさん付けまたはさま付けで薔薇さま方で「間違いなくってよ」でマリア様が見てらっさるわ!であああっ、ってあたりを半笑いで読む、というのが果たされたので満足です。でも読後こんなに複雑な気分になるとは……予想外だった……。