マイ・ボディガード(背景色でのネタバレ含)

軍の対テロ組織で鳴らした主人公は今や酒浸りの日々。すっかり廃人となっているところに舞い込んだのが小さな女の子の護衛の仕事。二人は次第に打ち解けてゆき、主人公も人の心を取り戻してゆくが……というお話。
パニッシャー』(→感想)以上に主人公が復讐鬼に見えなくて困った。ちょうどいい口実が出来たからまた人殺しとか拷問とかしようっと、ってなくらいの行動に見える。それでも最後まで見れば、ああ、この人は死に場所を探していたのか、と一応納得はできるのだけど、とにかくダコタ・ファニング不在の画面が長く続きすぎて何とも寂しい。チャカチャカ編集もあいまって眠くなってしまったくらい。
主演のデンゼル・ワシントンはやはり僕には魅力がわからず。ダコタ・ファニングも巧いんだけどいつも通りなので特に見所はないかも。ダコタ嬢の母親役ラダ・ミッチェルが妙に前に出て来ていて印象に残った。

鳥飼否宇『太陽と戦慄』

“導師”の元に集いロックバンドを結成した浮浪児達のデビューライヴにおいて、謎の殺人事件が起きる。数年後、バンドを解散した彼等の前で、連続爆破テロとともに仲間が一人ずつ殺されてゆく事件が発生し……というお話。
また変なの書いたなあ。この作者は基本的に人物の心情描写が下手で、ともすれば“電波”な人物を描いてしまう、という印象があったのだけど、今作のオチはその下手さを逆手に取っていていいと思う(意図的かどうか知りませんけど)。一応密室殺人なんかも起こるわりに何が中心となる謎なのかが最後まではっきりしない展開も良し。ただ、人物に魅力がないせいで読み進めさせる力は弱い。あと、とある登場人物に関するトリックは某作家の類似作品の引用じゃないかと思うのだけど、どうだろう。
とりあえず、この人にはバカミス界期待の新星として今後も注目していきたい。