デイヴィッド・アンブローズ『迷宮の暗殺者』

超人的な身体能力を持つ特殊工作員チャーリー・モンクの前に、ある日突然初恋の女性そっくりの女が現れる。チャーリーは彼女を追うが、彼女は忽然と姿を消してしまう。一方、記憶喪失患者の治療法を研究中の医学博士スーザンは、死んだ夫の足跡を辿るうち、巨大な陰謀に巻き込まれていく……というお話。
この↑あらすじを読んだだけで「ふむふむ。何となくオチが読めたぞ」と思った方もいるかもしれませんが、そんな方にご忠告。甘い!甘すぎる!この小説中盤の衝撃の展開の唐突さは真剣に凄まじく、これを予想できる人は早々いないだろう。サプライズに飢えている人には何を置いてもお薦め。でもまあ、それ以後の展開、特に終盤は普通のハリウッド・アクションのような話になってしまって少しつまらないかな。最後の最後でまたドタバタし出すのだけど、これもいくらなんでもしつこいと言うか、綺麗に終わっているとは言いがたい。とは言えあのネタだけでお腹いっぱいになれたので不満はないです。
ちなみにこの小説、既に映画化が決定しているようなのだけど、一体……一体どうやってこれを?(物凄く間抜けな絵面にならないか?)訳者あとがきによると作者本人*1はチャーリー役ジュード・ロウ、スーザン役ジュリア・ロバーツを希望しているらしくて、でもそれって単に好きな役者を並べただけじゃ。全然合ってないと思うぞ。

*1:映画脚本を書いていたキャリアがあるそう。でも全然知らない映画ばっかり→http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=5285