笹公人『念力姫』

一部で大評判のヘンテコ歌人、ついに二冊目が出ちゃったってことでまとめ買い。どちらも短歌を中心にした作品集で、『念力家族』のほうは念力だの先祖霊だの金星の王女だのが出て来るSF・オカルト短歌多し。『念力姫』も大体同じ傾向ながら、こっちは80年代カルチャーネタが多分に含まれていて、Dr.キャッツポーとか高橋名人16連射とか言われてもちょっと僕にはついていけなかったりするのだけど、でも楽しい。
全体的に、アングラっぽい雰囲気は大いに漂わせつつもビョーキな感じはしなく、ときたま甘酸っぱかったりもする作風が好み、というところかな。『念力家族』のラスト、腋臭少女短歌の畳み掛けと、『念力姫』のジュディ・オング短歌が特に気に入った。せっかくだから最後に一首引用しておこう。「憧れの山田先輩念写して微笑む春の妹無垢なり」