森奈津子『地下室の幽霊』

クラス替えで親友と別れてしまった衣緒は無愛想で頭のいい女の子一子と仲良くなる。二人でクラスで話題の幽霊屋敷を調べようと思っていた矢先、衣緒はおばあちゃんから別の幽霊話を聞いて……というお話。
えーと、まずはこの表紙画像*1を御覧下さい。少年と少女のイラストに見えますが、実の所は右の子も女の子だったり。これでみなさんお察しの通り、この子供向けレーベル「エンタティーン倶楽部」でも著者が書いてるのはやっぱり百合モノ(限りなくソフトではあるが)。しかもかなり質のいい。元気いっぱいだけど意外と脆い気質の女の子が、変わり者の女の子との親交を通して成長し、クラスの他の子とも仲良くなっていく様は決して嘘臭くなく爽やかで、さすがの出来。一子ちゃんはしっかり可愛いし。
オチは容易に読めちゃうのだけど、子供達だけの事件捜査が真相にだんだん迫っていく過程はちゃんとワクワク感があって、ミステリーとしても悪くない。奈津子ファンは是非。