クリストファー・プリースト『奇術師』

ジャーナリストのアンドルーは取材で貴族の女性ケイトと会う。彼はケイトから二人の祖先が奇術師としてライバル同士だったことを聞き、祖先の手による手記を渡される。その手記の中では祖先等の確執、そして瞬間移動マジックの秘密が語られていた……というお話。
読みやすいし、記述の中の騙りや齟齬の表れ方がテーマに密接に関係してるところにも興味が惹かれて面白かった。が、読後に残る広大で物寂しいモヤモヤ感はいまいち楽しめず、消化不良。読み直すともっと面白いんだろうけどその気が起こりません。心臓が縮み上がるほどの静寂の中で示されるオチ(のようなもの)の衝撃度は気に入り。
さて、ここからは余談ですが、この小説、クリストファー・ノーラン監督、ガイ・ピアースジュード・ロウ主演で映画化されるとのこと。ヤオイストが飛びつくなこりゃ。僕ぁボーデン×エンジャだと思うのです。エンジャのダメっ子ぷりを愛でることになろうな。