片山恭一『世界の中心で、愛をさけぶ』(背景色でのネタバレ含)

読んじゃった!もう野次馬根性満々で。言わずと知れたベストセラー。何でも『ノルウェイの森』の売り上げを抜いたとか抜かないとか。初めて本気で好きになった女の子が死んじゃってもう悲しいの悲しくないのって!というお話です。
えーっと、これは何か変だぞ。恋愛という名の悪い宗教にハマってしまった少年が長い時間を経て社会復帰する話、に見える。こういう話に本来必須なはずの彼女を魅力的に描写する記述があまりないこともあって、この主人公の強い思いは彼女に向いているというよりは“恋愛”もしくは“男女交際”に向いていて、しつこく描かれる喪失感にしても「あの素敵な愛の交歓が終わってしまった(相手は別に交換可能)」ということのように思える。ほとんど彼女が可哀相に感じられるまでに。でも、この本が面白いとしたらその面白さはこの“歪み”にあると思うなあ。実際僕は結構楽しんで読みました。
ちなみに、野次馬根性はあまり満たされませんでした。普通の売れ線純文学だったから。ただ、彼女の患う病気がよりによって白血病だったりするのはどうかな。これは「何だそのベタさは」ってツッコミを回避すべき部分だろうに。ノーガード戦法ってこと?