ドナルド・E・ウェストレイク『鉤』

未だに海外物ミステリとなると身構えてしまう部分があって(純文とかSFとかファンタジーなら海外でも何故か平気)、これも最初ちょっとばかし読みにくかったんだけど慣れると速い速い。リーダビリティ高いなこりゃ。でもせっかく読みやすいのに少しずつ読んだせいでいまいち散漫な印象しか持てない状態なのだなあ。出来れば一気読みしたかった。
で、ストーリーはと言うと交換殺人ネタとゴーストライターの話を合わせたようなもの。もっと喜劇風のドタバタな感じにしちゃうとか、ジョンスン刑事の嫌らしさを強調した倒叙物ミステリ風にするとかの方法もあったと思うけどこれは主な登場人物二人の内面を深く掘り下げて行くことで話を展開させるわりと暗い(でも重々しくはない)方向に落ち着かせているのだねー。読み終わった時点でかなり納得できるのでこの方向でよかったんだろうな。オチは読めるけどそのことが逆にスマートさを出しててよし。