カラー・オブ・ハート

トビー・マグワイアを見ようと思って見たのだけど、うはは、それどころじゃないくらい面白かった。いや、トビーはいいのだけどこの映画では狂言回し的な役割なもんだからあまり目立たないのだな。ともあれ、性欲も雨も火もない健全な白黒ドラマの世界の住人が“感情”を知るごとに世界がカラーになってゆく、という趣向が素晴らしい。登場人物の“新しい自分への目覚め”と白黒画面の中に色が現れる、というビジュアルの綺麗さの奇跡的なマッチングが実にファンタスティック!
中盤妙に社会的っつーか政治的なお話になるあたりでは鼻につく部分もある。“変わった人”と“変わろうとしない人”の構図を普通の保守VS進歩とか弾圧する方される方みたいな構図に置き換えちゃいかんでしょ。それは話が違うよ。でもそれも最後の裁判の場面で怒りとか憎しみ、疑い、悲しみなんかも“感情”であり“目覚め”だというふうに示してくれたことで片付いた気がしてすっきり。胸がときめく良い映画。