霧舎巧『七月は織姫と彦星の交換殺人』・『八月は一夜限りの心霊探偵』(背景色でのネタバレ含)

まとめて感想を。えーと、期待通り相変わらずの外しっぷりで、ここまで空回りできるってのもある種の才能だよなあ……などと思ったり。そんな霧舎が好きだ。
『七月』のほうは小道具に関するネタがかなりの脱力ネタ(『五月』に通ずるものがある)ながら微妙に面白かったりでいかにも霧舎っぽい。そしてメインの“新しい趣向の交換殺人ネタ”の必然性の薄さもまさに霧舎。まあもうちっとミステリとしてのネタを上手く物語りに取り込めないものかと思わないでもないが、それをこなせるようになった霧舎巧に魅力を感じるかどうかは微妙。にしても不快なキャラばっかり出てきて読んでるほうは大変ですよ。
で、結果的には『八月』のほうが面白かった。これみたいにネタが大規模なほうが下手さが目立たなくて霧舎には向いてると思う。短いだけあって展開もスピーディーで、いいんじゃないだろうか。本自体に仕込んであるネタもおおーそんなことがーと思えたし。でもグラビアまでミステリネタに活用することはなかったのに……まあそこが霧舎なんだが。あと予言の意味も実に霧舎っぽい。にしても中込さんは可愛いとかいうより怖くないか。